フランチャイズの損益分岐点の目安、ちゃんと計算してから加盟を決めようとしていますか?これを曖昧にしたまま契約してしまうと、毎月売上があるのに手元にお金が残らない、という状態に陥ります。ぶっちゃけ、これで撤退するFC加盟者はめちゃくちゃ多いです。
私自身、整体FCに借り入れをして加盟し、1店舗目はスタッフ2人で月商300万円を達成しました。だけど多店舗展開で失敗して、最終的に借金3,000万円以上を抱えて撤退しています。あの経験から言えることがあって、損益分岐点をなめていたのが大きな原因のひとつでした。
この記事では、FC加盟を検討しているあなたに向けて、損益分岐点の計算方法・業種別の目安・見落としがちなコストを全部ひっくるめて解説します。
フランチャイズの損益分岐点とは何か?まず基本から整理する

損益分岐点(そんえきぶんきてん)って、言葉は聞いたことあっても「結局どういう意味?」ってなる人が多いですよね。シンプルに言うと、「赤字にも黒字にもならない、ちょうど±ゼロになる売上高」のことです。
たとえば家賃・人件費・ロイヤリティ(本部に毎月払うお金のことです)などを合計した固定費が月100万円かかるとして、売上の何割かが変動費(材料費や消耗品など)に消えるとします。そのとき「どれだけ売れば赤字を脱出できるか」を示す数字が損益分岐点です。
あなたはどうですか?FC加盟を検討するとき、本部が見せてくれる「モデル収支」だけを信じて判断していませんか?
正直言うと、本部が提示するモデル収支って、かなり楽観的なケースが多いです。売上は高め、コストは低め、みたいな設定になっていることがある。本部側を責めるつもりは全然ないですが、加盟者側が自分で損益分岐点を計算する習慣を持てるかどうか——ここがカギになります。危ない。ほんとに。
計算式はこれだけ覚えておいてください。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
変動費率というのは、「売上に対して変動費がどれくらいの割合を占めるか」です。たとえば売上100万円のうち材料費や消耗品が20万円かかるなら、変動費率は20%(0.2)になります。
固定費が月80万円で、変動費率が20%のFCなら、
80万円 ÷(1 − 0.2)= 100万円
つまり月商100万円が損益分岐点。これを下回ると赤字、上回れば黒字です。
ただ、この計算で見落とされがちなのがロイヤリティを「固定費」として計上するか「変動費」として計上するかという問題です。売上連動型のロイヤリティ(売上の◯%)は変動費に入りますが、固定ロイヤリティ(毎月定額)は固定費に入ります。ここを間違えると、損益分岐点の計算がそもそもズレてしまいます。
業種別・フランチャイズ損益分岐点の目安一覧

FC業種によって、損益分岐点の目安はぜんぜん違います。ここがミソで、業種によって損益分岐点の構造がまるで違うんです。
まず業種ごとの目安を整理しておきます。ただし、これはあくまで一般的な参考値であって、個々のFCや立地によって大きく変わります。自分のFCの数字は必ず自分で計算してください。
整体・ボディケア系
整体業界では、スタッフ1人あたりの月商の目安が90〜110万円と言われています。スタッフ2人で営業するなら、最低でも月商180〜220万円がないと採算が取れないケースが多いです。私が1店舗目でスタッフ2人・月商300万円を達成できたのは、業界平均を大きく上回る数字だったから。だから調子に乗った(笑)。
整体FC損益分岐点の目安:月商150〜200万円前後(店舗規模・ロイヤリティ率による)
飲食系
飲食FCは変動費率が高い。食材原価が売上の30〜40%を占めることも普通にあります。人件費・家賃も重なるので、損益分岐点は月商の70〜80%付近に設定されることが多く、余裕がほとんどありません。
飲食FCは損益分岐点が高め。月商が少し落ちるだけで一気に赤字に転落しやすい構造です。
学習塾・教育系
生徒数が固定されれば収益が安定しやすく、変動費率は低め。ただし開業初期に生徒が集まるまでの期間が長く、その間の固定費をどう乗り切るかがカギになります。
リラクゼーション・エステ系
整体と似た構造ですが、化粧品など物販を絡めるFCはその分変動費率が上がります。ロイヤリティ率も業態によって10〜15%とかなり差があります。ロイヤリティが10%と15%では売上の5%の差。これ、月商200万円なら毎月10万円の差になります。年間で120万円。経営への影響は致命的な違いになります。
ロイヤリティの仕組みについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。
見落としがちなコストを全部洗い出す|損益分岐点が狂う原因

ここ、めちゃくちゃ大事です。損益分岐点の計算をしても「実際に開業したら全然合わなかった」という話、ほんとに多いんです。
原因はだいたい同じ。見えていないコストが多すぎるんですよね。
まずやってほしいのは、固定費を「本部から見せてもらう数字」だけで完結させないことです。モデル収支に載っていないコストが必ずあります。
広告費・販促費の分担金
本部が「集客は本部がやります」と言っていても、実際は加盟者が広告費を分担するケースがあります。毎月数万円〜数十万円が固定でかかることも。これ、モデル収支に含まれていないことがあって、開業後に「聞いてない」となるパターンが多いです。絶対に事前に確認して。
研修費・スーパーバイザー費用
SV(スーパーバイザー:本部が派遣する指導担当者のこと)の訪問費用や、スタッフ研修の実費が別途かかるFCもあります。
採用費
スタッフが辞めたときの採用コスト。整体系でいうと、施術者の採用・育成コストは馬鹿にできません。私が多店舗展開で失敗した一因も、社員の退職が続いたことでした。採用費が想定外にかさみ、運転資金を食い潰していった。
余談ですが、当時の私は1店舗目の成功体験があまりにも強くて、「この業態なら絶対うまくいく」という思い込みがあったんですよね。それが最大のミスでした。
開業後のシステム・IT費用
予約システムや顧客管理システムの月額費用。毎月1〜3万円程度でも、年間で考えると結構な金額です。
保険・リース費用
施術ベッドや機器のリース料。毎月の固定費としてしっかり計上を。
これらを全部足し算したうえで損益分岐点を計算し直すと、本部提示の数字より1.2〜1.5倍高くなることがよくあります。
FC加盟前に確認すべき費用についてはこちらのチェックリスト記事も参考にしてみてください。
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損益分岐点から逆算する「必要月商」の計算手順

じゃあどうするか。損益分岐点を計算するだけじゃなくて、そこから「自分は本当にその売上を達成できるのか?」を逆算する作業が必要です。あなたの計画、この逆算ちゃんとできていますか?
まずやってほしいのは、全部の固定費を洗い出すことです。家賃・人件費・ロイヤリティ(固定型の場合)・広告分担金・システム費・リース料・その他。これをすべて合計します。
次に変動費率を計算します。売上に対して変動コスト(材料費・ロイヤリティが売上連動型なら含む)が何%かかるかを算出する。本部に「変動費率の実績値を教えてください」と聞いてみてください。まともなFCなら答えてくれます。
あともうひとつ大事なのが、「損益分岐点の1.2〜1.3倍を目標月商として設定する」ことです。損益分岐点ギリギリを目指すと、ちょっとしたトラブル(スタッフ退職・設備故障・季節的な需要減)で即赤字になります。
私が2店舗目以降で失敗したのも、損益分岐点ギリギリの計画で出店していたからです。1店舗目の月商300万円という実績に引っ張られて、「最低でも月商200万円あれば大丈夫だろう」と甘く見ていた。だけど現実は、新店舗は立ち上げに時間がかかる。最初の数ヶ月は赤字が続く。そのときの運転資金をほとんど用意していなかったのが致命的でした。
運転資金の目安として、損益分岐点売上の3〜6ヶ月分は手元に持っておくべきです。これは多くのFC専門家も言っていますが、ほんとにそう。できれば6ヶ月分。これだけで全然変わります。
FC開業時に使える補助金や融資制度を上手く活用すれば、自己資金の負担を減らすことも可能です。補助金の活用方法についてはこちらの記事でまとめています。
損益分岐点を下げる方法と、本部選びで見るべきポイント

あなたが検討しているFCのロイヤリティ率、もう確認しましたか?損益分岐点が高すぎると感じたら、加盟するFC自体を見直すという選択肢があります。損益分岐点は、固定費とロイヤリティ率によって大きく変わるからです。
ロイヤリティ率を比較する
同じ業態でも、ロイヤリティが5%のFCと15%のFCでは損益分岐点が大きく違います。月商200万円のとき、ロイヤリティ5%なら10万円、15%なら30万円。毎月20万円の差、年間240万円の差。これ、経営のキツさが全然違います。
本部の集客サポートを確認する
自前で集客が難しいFC(特に実店舗型)は、本部の集客力が命です。本部がどれだけの広告投資をしているか、加盟者の平均月商・中央値を公開しているかを確認してください。
ぶっちゃけ、本部によるサポートの差は天と地ほどあります。SVがほぼ来ない本部、マニュアルが形骸化している本部、問い合わせに返答が遅い本部。これは加盟前に見抜きにくいですが、既存加盟者に直接話を聞くのが最も確実な方法です。
撤退時のコストを契約書で確認する
損益分岐点を上回れればいいですが、万が一うまくいかなかったときの撤退コストも把握しておかないと後悔します。違約金・残存期間のロイヤリティ・原状回復費用が契約書に隠れていることがあるので、弁護士や中小企業診断士に契約書を確認してもらうことを強くすすめます。
まとめ|損益分岐点を知らずにFC加盟するのはギャンブルと同じ
フランチャイズの損益分岐点の目安、整理できましたか?
計算式は「固定費 ÷(1 − 変動費率)」。そこに見落としがちなコストを全部加算して、さらに1.2〜1.3倍の余裕を持った目標月商を設定する。これがFC加盟前にやるべき最低限の作業です。
私自身、この計算を甘くみて3,000万円以上の借金を抱えました。1店舗目の成功体験があったからこそ、数字への感覚が鈍った。あの失敗から言えることは、好調なときほど、数字を冷静に見続ける——これだけで全然変わります。
FC加盟は人生を変えられる選択肢です。だけど準備不足のまま進むと、人生を狂わせる選択肢にもなり得ます。損益分岐点を自分でしっかり計算できるようになれば、加盟するかどうかの判断も、どのFCを選ぶかの判断も、ずっと根拠のあるものになります。焦らずに、数字と向き合っていきましょう。
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よくある質問
Q. フランチャイズの損益分岐点の目安は売上の何割くらいですか?
A. 業種にもよりますが、整体・リラクゼーション系であれば月商の60〜70%が損益分岐点になるケースが多いです。飲食系は変動費率が高いため、月商の70〜80%まで上がることもあります。本部のモデル収支だけを信じず、自分で全固定費と変動費率を計算し直すのがまず最初にやること。それだけで見える景色が全然変わります。
Q. 損益分岐点の計算にロイヤリティはどう含めればいいですか?
A. 売上連動型(売上の◯%)のロイヤリティは変動費として計上します。固定ロイヤリティ(毎月定額)は固定費に入れてください。混在するFCもあるので、契約前に必ず仕組みを確認しておきましょう。ロイヤリティが10%と15%では、月商200万円で毎月10万円・年間120万円の差になります。これが経営の余裕に直結します。
Q. FC加盟後に損益分岐点を達成できない月が続いたら、どうすればいいですか?
A. まず運転資金が何ヶ月分残っているかを確認してください。私の経験では、3ヶ月連続で損益分岐点を下回るようなら、本部のSV(スーパーバイザー)に相談するとともに、撤退コストを試算しておく必要があります。傷が浅いうちに手を打つほうが、最終的な損失を抑えられます。引き際の判断は早いほど良いです。
Q. FC加盟前に損益分岐点を確認するために、本部に聞くべきことは何ですか?
A. 最低でも以下の4点は聞いてください。①既存加盟店の平均月商と中央値、②変動費率の実績値、③ロイヤリティの種類と率、④広告費・分担金など月次で発生するその他費用の一覧。この4点を開示しない本部は、加盟を慎重に検討したほうが良いと私は考えています。
Q. 損益分岐点を達成するまでの期間、運転資金はどれくらい用意すればいいですか?
A. 最低3ヶ月分、できれば6ヶ月分の固定費を運転資金として用意してください。損益分岐点売上高に変動費率を掛けた金額も加算するのが正確な計算です。私が多店舗展開で失敗した最大の原因は、この運転資金をほぼ用意しないまま出店し続けたことでした。1店舗目の成功体験があっても、新店舗は別物だと思って準備できているかどうか——これが生き残れるかどうかのカギになります。

