フランチャイズに加盟して従業員の離職率が高いと悩んでいる方、めちゃくちゃ多いんです。「また辞めた」「採用してもすぐ抜ける」——この繰り返しで疲弊しているオーナーを、私はこれまで何人も見てきました。私(富永)自身も整体FCをはじめ5ブランドに加盟した経験の中で、スタッフ離職に何度も苦しめられた一人です。
この記事では、FCビジネスで従業員の離職率が高くなる構造的な原因と、現場で実際に機能する対策をまとめています。「なぜ辞めるのかわからない」という方ほど、読んでみてほしいんです。
フランチャイズで離職率が高くなりやすい構造的な理由

まず根本的な話をします。
フランチャイズの現場って、ここがミソで、「スタッフが辞めやすい環境」が最初から組み込まれているケースが多い。加盟してから気づく人がほとんどなんですよ。
理由の一つ目は、オペレーションの標準化がスタッフのやりがいを削ぎやすいこと。FCモデルの強みは「誰でも同じクオリティを再現できる仕組み」ですよね。ただ、裏を返すと「個性や工夫の入る余地が少ない」ということでもある。特に整体・ピラティス・エステなど技術職系のFCでは、「もっとこういうアプローチをしたい」という優秀なスタッフほど、マニュアルの制約に窮屈さを感じて辞めていく。
二つ目は、給与水準が上げにくい収益構造。ロイヤリティ(本部に毎月払うお金のことです)が売上の10〜15%前後かかるFCは多いですが、ここに広告費の分担金や管理費が乗ってくると、手元に残る利益はかなり圧縮される。利益が薄ければ、当然スタッフに還元できる金額も限られます。「頑張っているのに給料が上がらない」という不満が積み重なって、離職につながる。オーナーが努力してもどうにもならない部分が多いので、加盟前に収益シミュレーションをしっかり見ておいてほしいんです。
三つ目は、本部のサポート体制の問題。SVサポート(スーパーバイザーが定期的に店舗を回って指導・支援してくれる仕組みです)が手薄なFCでは、オーナー自身も孤立しがち。オーナーが孤立すると、スタッフへの適切なフォローが行き届かなくなる。本部のサポート力は、スタッフ定着率に直結するんです。加盟前にはなかなか見えないポイントなんですけどね。
あなたの店、心当たりはありませんか?
私が経験した「1店舗目の成功」と「スタッフ離職による崩壊」

少し私の話をさせてください。
1店舗目の整体FCに加盟したとき、スタッフ2人で月商300万円を達成しました。整体業界でいうと、セラピスト一人あたり90〜110万円が安定ラインと言われているので、これはかなり好調な数字。1年間で約1,000万円の利益が出て、「このモデルはいける」と確信したんです。
で、そこから多店舗展開に踏み切った。
ところが、2店舗目・3店舗目と出していく中で、社員の退職が相次いだんですよ。理由はいろいろありましたが、根っこにあったのは「1店舗目のときのようにオーナーが現場を見られない」という状況でした。私が各店舗を回り切れなくなった途端、スタッフのケアが後回しになって、不満が溜まって、辞めていく。
ぶっちゃけ、1店舗目がうまくいったのは「私が現場に張り付いていた」からでもあった。それを多店舗に展開しようとした時点で、仕組みが崩れ始めていたんです。
最終的に4店舗目の売上不振が引き金になり、借金3,000万円以上を抱えて撤退しました。初期費用だけで約1,000万円かかっていた店舗もあった。スタッフ離職が連鎖すると、売上が落ちて、資金繰りが悪化して、さらにスタッフへの待遇が悪化する——という負のループが止まらない。本当に、止まらないんですよ。
あなたはどうですか?今、似たような状況の入り口に立っていませんか?
FC多店舗展開で失敗する典型的なパターンについては、こちらの記事でも詳しく書いています。
FCで従業員が辞める「本当の理由」を5つ整理する

経験をもとに整理すると、FCスタッフの離職理由はだいたいこの5つに集約されます。
① 将来像が見えない
FCの現場スタッフは「ここで頑張ったら自分はどうなれるの?」という問いへの答えを持ちにくい。キャリアパスが設計されていない職場では、優秀な人ほど早く見切りをつける。「3年後にこういうポジションがある」という具体的なキャリア設計を見せるだけで、定着率が全然変わります。
② オーナーとの関係性
直接の上司であるオーナーとの関係性は、離職判断に直結します。特にFC経営者は「本部からのプレッシャー」「資金繰りのストレス」を抱えていることが多く、それが現場への態度に出てしまうケースがある。これ、めちゃくちゃあるあるです。
③ 給与・評価への不満
先ほどの収益構造の話にもつながりますが、FCの収益モデル上、給与テーブルに上限が生まれやすい。「頑張っても上がらない」と感じたとき、スタッフは転職を考え始めます。
④ 本部ルールへの違和感
マニュアル通りの施術・接客を強いられることへの抵抗感。技術職系では特に顕著です。「お客さんのためにこうしたいのに、本部のルールで縛られる」という葛藤。
⑤ 労働環境・シフトのきつさ
これを軽視するオーナーは多いんですが、休憩が取れない・急なシフト変更が多い・連勤が続く、といった環境問題は離職の直接トリガーになります。売上目標を追いすぎてスタッフを酷使していないか、定期的にチェックしてほしい。
余談ですが、私が多店舗展開で痛感したのは「スタッフが辞める理由はほぼ予兆がある」ということ。とはいえ、数字を追いかけている時期って、そういうシグナルが見えなくなるんですよね。
あなたのスタッフ、最近どんな表情してますか?
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離職率を下げるために現場でできる具体的な対策

じゃあどうするか。
まずやってほしいのは、「辞める前に話してもらえる関係性」をつくること。月1回でもいいので、業務外の1on1(一対一の面談)を設けて、不満や不安を吐き出せる場を作る。これだけで全然違います。
次に、給与以外のインセンティブ設計を見直すこと。売上歩合・指名料の還元・資格取得支援・シフト優先権など、お金以外で「ここで頑張る理由」を増やす工夫はオーナー判断でできるものも多い。本部のルール範囲内で何ができるかを改めて洗い出してみてほしいんです。
あともうひとつ、採用段階での「すり合わせ」を丁寧にやること。これが一番地味で、一番効く。「FCのルールでできないこと」「給与テーブルの上限」「シフトの実態」を、採用の時点で正直に伝える。入社後のギャップを減らすことが、離職率低下の一番の近道です。
ここがミソで、採用コストって馬鹿にならない。求人広告費・研修期間の人件費・オペレーション習熟までの機会損失……全部足したら、一人辞めるたびに数十万円のコストが飛んでいると思ってほしい。離職を「仕方ない」で片付けているオーナーは、知らないうちに経営を蝕まれています。
本部のSVサポートを最大限に活用するのも手。SV(スーパーバイザー)に「スタッフマネジメントで困っている」と相談してみると、意外と具体的なアドバイスをもらえることがある。サポートの手厚さは本部によって天と地ほど違うので、SV支援の実態については別記事も参考にどうぞ。
あなたの店のスタッフ、最後にちゃんと話を聞いたのはいつですか?
加盟前にチェックすべき「離職率が低いFC」の見分け方

これからFC加盟を検討している方にも読んでほしい話です。
離職率が低いFCには、共通した特徴があります。
まずやってほしいのは、本部がスタッフ採用・研修に積極的に関与しているかどうかの確認。「採用はオーナーに任せます」というFCは要注意。採用基準がバラバラになりやすく、オーナーのスキルに依存しすぎる構造になりがちです。
次に、加盟店オーナーへのヒアリングを必ず行うこと。本部の説明会では当然いいことしか言わない。既存オーナーに「スタッフ定着率どうですか?」「辞める人多いですか?」と直接聞いてみる。ここで歯切れが悪い答えが返ってきたら、赤信号です。
収益モデルの確認も欠かせない。ロイヤリティが売上の10%なのか15%なのか、この差はぶっちゃけ経営に致命的な差を生みます。売上が300万円なら月15万円・月45万円の差。ロイヤリティの仕組みと計算方法についてはこちらで詳しくまとめているので参考にしてみてください。
「成功事例だけを見せる説明会」「他の加盟店オーナーとの接触を制限するFC」は特に慎重に。私が経験した中でも、こういう本部ほど実態と説明のギャップが大きかった。
答えはシンプル。加盟前に現場の声を拾えるかどうか、それだけです。
あなたはFC選びで、既存オーナーの声を直接聞けていますか?
フランチャイズで従業員の離職率が高い背景には、収益構造・マニュアルの制約・サポート不足といった「FC特有の構造的な問題」があります。オーナーが頑張っているのに人が定着しない場合、まず仕組みそのものを見直す必要がある。
とはいえ、現場でのコミュニケーション・採用段階のすり合わせ・キャリア設計の提示など、今すぐできる対策もある。小さな改善を積み重ねること——これが離職の連鎖を断ち切るカギになります。
私自身、多店舗展開の失敗でスタッフ離職の怖さを身をもって経験しました。あのとき早く手を打っていれば——と今でも思います。だからこそ、同じ思いをしてほしくない。ぜひ、この記事をヒントに動いてみてほしいんです。
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よくある質問
Q. フランチャイズで従業員の離職率が高い主な原因は何ですか?
A. 原因は大きく3つあります。①マニュアル主体のオペレーションによるやりがいの低下、②ロイヤリティ等の費用負担で給与に上限が生まれやすい収益構造、③本部サポートが薄くオーナーがスタッフケアを後回しにしてしまうケース。どれか一つではなく、複数が重なって起きることが多いです。
Q. スタッフが辞めない職場にするために、今日からできることはありますか?
A. まず月1回の1on1面談を始めてみてください。不満が表面化する前に拾える環境をつくるのが先決です。採用時点での「できないことの正直な開示」も効果的。入社後のギャップを減らすだけで、定着率は大きく変わります。採用コストを計算すると、対策の優先度がリアルに見えてきます。
Q. FC加盟前に「スタッフが定着しやすいFC」かどうかを見分けられますか?
A. 見分けられます。一番確実なのは、既存の加盟店オーナーに直接話を聞くこと。「スタッフの定着率は?」「採用で本部はどこまでサポートしてくれる?」と聞いてみてください。本部が既存オーナーとの接触を制限するような場合は、正直、そこは疑った方がいいです。
Q. ロイヤリティが高いFCほどスタッフへの還元が難しくなりますか?
A. はっきり言うと、その通りです。売上300万円でロイヤリティ10%と15%では、月に15万円の差が出ます。年間で180万円。その分がスタッフ給与の原資に回せるかどうかは、定着率に直結します。加盟前に収益シミュレーションをきっちり確認して、給与テーブルの上限をイメージしておくのがカギになります。
Q. 多店舗展開するとスタッフ管理はどうなりますか?
A. 正直、一気に難しくなります。私自身、1店舗目で成功したモデルが多店舗では通用せず、社員の退職が連鎖しました。オーナーが全店舗を見られなくなった瞬間、スタッフケアが薄くなる。多店舗展開を考えるなら、店長候補の育成と運転資金の確保を先にやることを強くすすめます。

