フランチャイズ開業を検討しているなら、従業員の募集・採用は絶対に甘く見てはいけないポイントのひとつです。「本部がサポートしてくれる」「マニュアルがあるから誰でも動ける」と思っていたら、開業直後から人手不足で自分がフル稼働する羽目になる——そんな話、ぜんぜん珍しくないです。
私自身、整体FCをはじめ5ブランドに加盟してきた経験の中で、従業員の採用と定着の難しさには何度も痛い目を見ました。最終的に借金3,000万円以上を抱えて撤退することになった一因も、正直なところ「人材の問題」でした。
この記事では、FCの従業員募集でよくある失敗パターンと、その回避策をリアルな実体験ベースでお伝えします。
フランチャイズの従業員募集が「普通の採用」より難しい理由

「FC加盟すれば本部が採用も手伝ってくれる」——あなたも、そう思っていませんか?
半分は本当で、半分は幻想です。
本部によっては求人媒体の紹介や採用ツールの提供はしてくれます。ただ、採用活動そのもの・面接・雇用条件の設定は加盟店オーナーがやることがほとんど。しかも、FC特有の事情が採用をさらにややこしくしているんです。
FCブランドに「制約」がある
一般の会社と違って、FC加盟店はブランドのルールに縛られています。制服・接客マナー・業務フローが決まっているので、「うちは自由にやりたい人歓迎!」とはなかなか打ち出せない。求職者からすると「融通が利かなそう」と映ることもあって、応募が集まりにくいケースがあります。
特に個性を活かしたい若手人材や、スキルアップを目指すタイプの求職者にはFCの制約がネックになりやすい。求人票を書きながらそこに気づく人は少ないんですけど、ここがミソで、めちゃくちゃ重要なポイントです。
給与水準が本部ルールに縛られることも
業種によっては、スタッフへの時給・月給の設定に本部ガイドラインが存在します。ロイヤリティ(本部に毎月払うお金のことです)を払った後の残りで採算を合わせなければならないので、競合店より給与を上げて人材を取り合う、ということができないケースがあります。
求人市場では「時給50円の差」で応募数がガラリと変わる。なのに、価格競争すらできないとなると、採用は最初から不利なスタートです。
そもそも採用コストを甘く見ている
心当たり、ありませんか?「求人サイトに出せばすぐ集まるだろう」って思いながら予算を組んでいませんか。
求人媒体の掲載費用は、業種・地域・掲載プランによって異なりますが、1名採用するのに数万〜数十万円かかるのは珍しくないです。複数名採用が必要な開業初期は、それが一気に膨らむ。この採用コストを開業資金の計算に入れていない人、ほんとに多い。
失敗事例から学ぶ|人材問題でFC店舗が潰れるパターン

「退職ドミノ」って聞いたことありますか? 私が実際に経験して、一番怖かったやつです。
私が経験してきた中で、一番リアルに語れる部分がここです。ちょっと暗い話になりますが、大事なところなので読んでほしい。
1店舗目の整体FCは、スタッフ2人で月商300万円を達成しました。整体業界の目安として、スタッフ1人あたり月商90〜110万円あれば安定と言われているので、これはかなり好調な数字でした。1年で利益は約1,000万円。当時の私は「このパターンで増やせばいける」と完全に浮かれていたんです。
で、多店舗展開に踏み切った。
ここからが失敗の本番です。
「社員がいれば回る」という思い込み
2店舗目、3店舗目と出店を続けたとき、私はスタッフの採用と育成を甘く考えていました。「1店舗目でうまくいったオペレーションをそのまま持ち込めばいける」と。
ただ、1店舗目で機能した理由のひとつは、特定のスタッフの能力と信頼関係にあった。「再現性があるもの」ではなかったんです。新店舗では全員が新人に近い状態。育成に時間がかかる中で、採用コストが膨らみ続けました。
社員の退職ドミノ
多店舗展開の途中で、社員退職が連鎖するという最悪の展開が来ました。理由はいくつかありましたが、私のマネジメント不足が大きかった。
1人辞めると残ったスタッフの負担が増える。負担が増えると次の1人が辞める。止まらないんですよ、このドミノって。4店舗目が売上不振と人手不足のダブルパンチで、撤退を決断せざるを得なくなりました。整体1店舗の初期費用は約1,000万円。それが消えて、最終的に借金3,000万円以上——採用の失敗から始まった負の連鎖、それが全部でした。
運転資金不足が採用の選択肢を狭める
もうひとつ大きかったのが、運転資金をほぼ用意せずに出店したこと。採用コストが予想外にかかっても、その余裕がない。結果、「安く採用しようとして質が落ちる」「教育に時間・お金をかけられない」という悪循環に入りました。
フランチャイズ開業に必要な資金の全体像はこちらで解説しています。運転資金の目安についても触れているので、開業前に確認してほしいです。
フランチャイズの従業員募集を成功させるための具体策

あなたの開業資金の内訳、採用コストの欄は空白になっていませんか?
失敗を踏まえて、「これをやっておけばよかった」と感じていることをまとめます。
まずやってほしいのは、採用計画を「資金計画と同時に」立てること
開業前の段階で、採用コストを明確に予算化する。「何人必要か」「どの媒体を使うか」「1名採用にいくらかかるか」を試算して、開業資金に組み込む。これだけで全然変わります。
ハローワーク・Indeed・地元フリーペーパーの組み合わせは費用を抑えながら採用する定番手法です。業種によっては学校への求人票送付も有効。本部に「どの採用媒体が実績ある?」と聞いておくのもアリです。本部が過去データを持っていれば、それを使わない手はない。
求人票の「職場の雰囲気」に本気を入れる
FCだからといって本部テンプレートの求人票をそのまま使う人、多いんですけど、求人票の職場アピール欄は自分の言葉で書き直してほしいです。「うちの店ではこういうふうに働ける」という具体的なイメージを求職者に伝えることが、採用のカギになります。
写真も同様。本部から提供される画像ではなく、自分のお店の雰囲気を実際に撮影した写真を使うと応募率が上がります。地味だけど、効果はほんとにあります。
定着率を上げる「最初の1ヶ月」設計
採用できてもすぐ辞められる——これが一番お金の無駄になります。採用直後の1ヶ月をどう設計するかで、3ヶ月後の定着率が大きく変わるというのが私の実感です。
具体的には、入社初日に期待値を言葉にして伝えてほしい。最初の2週間は毎日5分だけフィードバックの時間をつくる。これだけでぜんぜん違います。マニュアルを渡して「あとはよろしく」は論外です。
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本部のサポート力で採用難易度は天と地ほど変わる

あなたが加盟しようとしているFC本部、採用支援は具体的に何をしてくれますか?
ここ、説明会で確認している人は意外と少ない。「サポートします」って言葉だけで判断している人、めちゃくちゃ多いです。
採用支援の「本当の中身」を確認する
本部の採用支援には、大きく分けてこんな内容があります。
- 求人媒体の法人契約を加盟店に開放してくれる(掲載費が安くなる)
- 採用面接のマニュアル・チェックリストを提供してくれる
- 採用代行やスカウト機能の利用が可能
ただ、これが「やります」で終わっていて実際には機能していないケースがある。加盟説明会では「採用支援あり」と書かれていても、実態は「求人媒体の案内だけ」みたいなことは珍しくないです。
既存の加盟店オーナーに直接「採用で本部どのくらい動いてくれましたか?」と聞くのが一番正確。これが一番のリサーチ方法だと私は考えています。
SVサポートと教育体制は採用の「入口」以上に大事
SV(スーパーバイザー)というのは、加盟店を巡回して経営アドバイスをしてくれる本部の担当者のことです。このSVが教育・育成についてどこまで踏み込んでくれるかが、スタッフ定着率に直結します。
本部によっては、新入スタッフの研修を本部が直接やってくれるところもある。逆に、「マニュアルを渡すからあとは各店舗で」という放任型の本部もある。この差はぜんぜん違う。
SVサポートの見極め方についてはこちらで詳しく書いています。加盟前に必ず確認してほしいポイントをまとめています。
契約書と採用ルールの落とし穴|見落としがちなリスク

契約書、ちゃんと読みましたか?
FC加盟の契約書を読み込んでいたとき、採用に関するルールが意外なところに隠れていて驚いたことがあります。「そこに書いてあったの?」って感じで。
雇用条件に本部の縛りがある場合
業種によっては、スタッフの給与体系・歩合の設定・雇用形態に本部のガイドラインがある場合があります。これが契約書の細かい条項に書かれていることがある。
「自由に採用できると思ってたのに、給与条件がある程度固定されていた」——後から気づくとかなりきつい。契約書は弁護士か中小企業診断士に事前レビューしてもらうことを強くおすすめします。
撤退時の「スタッフの扱い」問題
ぶっちゃけあまり語られないんですが、FC店舗を閉める際にスタッフをどう扱うかは、契約書・労働法・本部の規定が複雑に絡み合います。私が撤退したときも、スタッフへの対応は精神的にも経済的にもしんどかった。
撤退時のリスクを事前に理解しておくことが、長期的な経営判断のカギになります。楽しい話じゃないけど、加盟前に「もし撤退するときは?」を想定しておくと冷静な判断ができます。
FC契約書で確認すべきポイントの一覧はこちらにまとめています。採用ルール・撤退条項の確認箇所もリスト化しています。
まとめ|従業員採用の失敗はFC経営全体を揺るがす
フランチャイズの従業員募集で失敗しないために、今回お伝えしたことを振り返ります。
- 採用コストは開業資金に必ず組み込む
- 求人票は自分の言葉で書く
- 入社後1ヶ月の設計を怠らない
- 本部の採用サポートの実態を既存加盟店に確認する
- 契約書の採用・雇用に関する条項を事前にチェックする
私が3,000万円以上の借金を抱えることになった背景には、採用と人材定着の失敗がありました。1店舗目の成功体験に浮かれて、運転資金も採用コストも甘く見た結果です。あなたには同じ道を歩んでほしくない。
FCは「仕組みがあるから楽」ではなく、「仕組みの上に人を乗せて初めて動く」もの。その人を採り、育て、定着させる力こそが、FC経営の土台です。
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よくある質問
Q. フランチャイズの従業員募集は本部がやってくれないのですか?
A. 本部によってサポート内容は大きく異なります。求人媒体の紹介や採用マニュアルの提供をしてくれる本部がある一方、「加盟店が自力でやるもの」として実質ほとんどサポートがない本部もあります。加盟説明会で「具体的に何をしてくれるか」を確認し、既存加盟店に実態を聞くのが確実です。
Q. フランチャイズ開業時に採用コストはどれくらい見ておけばいいですか?
A. 業種・地域・必要人数によって大きく変わりますが、1名採用あたり数万〜数十万円を見ておくのが現実的です。開業時に複数名採用が必要な場合は、採用コストだけで数十万〜100万円超になることもあります。この費用を開業資金に含めていない方は多いので、必ず資金計画に組み込んでください。
Q. スタッフがすぐ辞めてしまうのですが、フランチャイズ特有の原因はありますか?
A. FCのマニュアルや制約の多さを「自由がない」と感じて離職するケースはあります。ただ、私の経験では「入社直後のフォロー不足」が原因のほうが圧倒的に多いです。最初の1ヶ月に期待値の共有とフィードバックを入れることで、定着率は大きく改善します。マニュアルを渡して放置、は論外です。
Q. フランチャイズ加盟で採用に失敗すると経営はどうなりますか?
A. 最悪の場合、人手不足でオーナー自身がフル稼働し、経営管理ができなくなります。私が経験したように「退職ドミノ」が起きると、売上が急落して撤退を余儀なくされることもあります。採用・定着の失敗はキャッシュフローに直結するので、FC経営において最優先で対策すべきリスクのひとつです。
Q. フランチャイズ加盟前に採用のしやすさを見極める方法はありますか?
A. 本部の説明会で「過去1年の加盟店の平均採用人数と採用コスト」を聞いてみてください。回答が曖昧な場合は要注意です。また、加盟予定エリアの求人市場(競合他社の時給・求人数)を事前に調べておくのがカギになります。業種によっては人材確保が構造的に難しいエリアがあるので、現地調査は絶対やってください。

