「フランチャイズ本部と加盟店のトラブル事例」を調べているあなたは、きっと加盟前に失敗したくないと感じているはずです。その感覚、正しいと思います。私自身、整体FCを含む5ブランドに加盟し、1店舗目で月商300万円を達成しながらも、最終的に借金3,000万円以上を抱えて撤退した経験があります。あのとき事前にトラブル事例を知っていれば、もう少し違う判断ができたかもしれない。この記事では、実際に起きやすいトラブルのパターンと、加盟前にやっておくべきチェックポイントをまとめました。
フランチャイズのトラブルが起きやすい「構造的な理由」とは

FCトラブルって、「悪い本部と善意の加盟者」という単純な構図じゃないことが多い。まずここを知っておいてほしい。
FCビジネスの仕組みを簡単に言うと、本部は加盟店を増やすことで加盟金とロイヤリティ(本部に毎月払うお金のことです)を得ます。一方、加盟店はブランドと仕組みを借りて商売をする。この利害関係の「ずれ」がトラブルの温床になるんです。
たとえば本部にとっての最優先事項は「チェーン全体の売上」であって、個々の加盟店の収益ではありません。だから、ある加盟店が赤字でも「ブランド全体の数字が良ければOK」という判断になりやすい。加盟店側からすると「見捨てられた」と感じるわけです。
ここがミソで。加盟前に渡される開示書面(フランチャイズ契約の内容を事前に開示する書類)って、法律上は「渡すこと」が義務付けられているんですが、「わかりやすく説明すること」までは義務じゃないんです。だから専門用語が並んだ書類をざっと見て「まあ大丈夫だろう」と判断してしまい、後から「そんなこと聞いてなかった!」というトラブルになる。
心当たり、ありませんか?
私が加盟した当初も、契約書の隅々まで読んだかと言われると正直怪しい。弁護士にチェックしてもらったのも、4ブランド目以降の話です。1〜3ブランド目はほぼ感覚で判断していました。
契約書を読まずに「担当者が良い人だから大丈夫」と判断するのは、FC加盟で最もやってはいけない行為のひとつです。
もちろん、本部側にも誠実なところはたくさんあります。ただ、構造上「本部が有利」に設計されている部分がある——これ、加盟前に頭に叩き込んでおいた方がいい。
ロイヤリティの仕組みや契約書の読み方についてはこちらの記事でも解説しているので、参考にしてみてください。
加盟店が実際に経験したトラブル事例8選

具体的なトラブルのパターン、めちゃくちゃ多いです。あなたが今検討しているFCに、いくつ当てはまりますか?
① ロイヤリティが高すぎて利益が出ない
ロイヤリティが売上の10%と15%では、一見「たった5%の差」に見えます。でも月商200万円なら毎月10万円の差。年間120万円。致命的です。私自身、ロイヤリティ15%のブランドに加盟したとき、月商がそこそこあっても手元に残るお金が想像より全然少なくて愕然としました。
② 本部の広告費分担が不透明
「本部が広告を打ってくれる」と説明を受けたのに、実際は「広告費を加盟店が分担」という仕組みになっていたというケースは非常に多いです。月に数万〜数十万の分担金が発生することも。
③ SVサポートが機能しない
SV(スーパーバイザー)は本部が派遣する巡回担当者のことです。加盟前は「月2回訪問します」と説明されたのに、実際には3ヶ月に1回しか来ない。しかも来ても「数字の確認だけして帰る」という状態。SVの質は本部によって本当に天と地ほど違います。面談時に「SVは具体的に何をしてくれるか」、これ、絶対に確認してほしい。
④ 商圏が守られなかった
「この地域はあなたの独占エリアです」と言われたのに、半年後に近くに同ブランドの店が出た。これ、契約書の文言が「優先的に配慮する」という曖昧な表現になっていると、実質的に守られない場合があります。
⑤ 契約解除時の違約金が高額
FC契約を途中解除すると、残存契約期間分の違約金が発生するケースがあります。3年契約で1年半で撤退→約1年半分のロイヤリティ相当額を請求された、なんて話も珍しくない。撤退時のリスクは、加盟を検討している段階で必ず契約書で確認すること。
⑥ 研修が形骸化していた
「充実した研修があります」と説明されたのに、実際は1日のマニュアル読み合わせだけ。スタッフが育たないと売上が安定しないので、加盟前に「どんな研修がどれくらいの頻度であるか」を書面で確認するのがカギになります。
⑦ 本部が突然、仕様変更・値上げを指示
加盟後に「設備の更新が必要」「新システムへの移行費が発生」と言われ、数百万の追加コストが発生したケースもあります。契約書に「本部の指示に従う義務」という文言があると、断れないこともある。
⑧ 加盟金の回収に想定以上の時間がかかった
加盟金200〜300万円を払って開業しても、毎月のロイヤリティや諸経費を引くと手元に残る利益は薄い。加盟金を回収するまでに3〜5年かかるFCも珍しくありません。なかには「経営を続けても加盟金を回収できないまま閉店」というケースも。
私が3,000万円の借金を抱えるまでに起きたこと

少し私自身の話をさせてください。
1店舗目の整体FCは、スタッフ2人で月商300万円。業界では1人あたり月商90〜110万円が安定ラインと言われているので、これはかなり好調な数字でした。1年で利益約1,000万円。「このまま多店舗展開すれば、数年で財務自由だ」と本気で思っていた。
これが落とし穴でした。完全に。
1店舗目の成功パターンがそのまま通用すると思い込んで、運転資金をほぼ用意しないまま2店舗目・3店舗目と出店を続けたんです。で、2店舗目以降で社員の退職が続出した。売上が読めなくなって、4店舗目が完全に売上不振。
失敗した整体の初期費用だけで約1,000万円。最終的に借金3,000万円以上を抱えて全店撤退しました。
ぶっちゃけ、あのとき誰かに「1店舗目が上手くいっても、運転資金は別で必ず用意しろ」と言ってもらえていたら……と今でも思います。止まらないんです、本部への支払いって。たとえ売上がゼロになっても。
このとき経営者保証(銀行への融資で経営者が個人で保証人になること)の怖さも痛感しました。経営者保証を外す方法については別記事で詳しく解説しているので、借り入れを検討している方はぜひ読んでみてください。
FC加盟前に確認すべき財務チェックについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
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トラブルを未然に防ぐための5つのチェックポイント

じゃあどうすればよかったか。今の自分が加盟前の自分にアドバイスするなら、このあたりを必ず確認しろと言います。あなたはこの5つ、全部できていますか?
まずやってほしいのは、契約書を弁護士に読んでもらうこと
FC専門の弁護士でなくても構いません。数万円の費用で「解約条件・違約金の条項・商圏保護の文言」を確認してもらうだけで、後悔するリスクを大幅に下げられます。「そんな費用かけたくない」という方ほど、実は後で大きな損を出す。
次に確認してほしいのは、既存加盟店への直接ヒアリング
本部が紹介する「成功事例の加盟店」だけに話を聞いても意味はないです。自分でFCのブランド名で検索して、直接オーナーに連絡を取ってみること。これだけで得られる情報量が全然違います。「SVは実際どうか」「広告費の分担はいくら来ているか」「撤退した人の話を知っているか」この3つは必ず聞くといいです。
加えて、運転資金の確保を甘く見ないこと
開業資金とは別に、最低でも3〜6ヶ月分の固定費(家賃・人件費・ロイヤリティ)を現金で用意しておくことを私は強くすすめます。1店舗目が成功しても、2店舗目は別物です。本当に別物。
補助金・助成金を使うかどうかも確認する
FC加盟時に使える補助金は存在します(小規模事業者持続化補助金など)。本部によっては補助金申請のサポートをしてくれるところもあるので、加盟説明会で「補助金は使えますか?」と一言聞いてみてほしいんです。
本部が補助金の存在を一切教えてくれない場合は、加盟者へのサポート姿勢に疑問を持ったほうがいいです。
あともうひとつ。本部の財務状況を確認する
「本部が倒産したら加盟店はどうなるか」を考えている人って、意外と少ない。本部が倒産すれば看板も仕組みも一瞬で失います。可能であれば本部の決算書を開示してもらう、または帝国データバンクなどで財務状況を調べておくと安心です。
本部選びで見るべき「本当の指標」とは

FCを選ぶとき、多くの人は「加盟金の安さ」「ロイヤリティの低さ」「知名度の高さ」を見ます。間違ってはいない。ただ、それだけ見ていると足をすくわれます。あなたが今見ている指標、本当に正しいですか?
私が今思う「本当に見るべき指標」はこの3つです。
撤退率(閉店率)を必ず確認する
開示書面には「直近3年間の加盟店数の推移」が記載されています。増えているFCは好調、急減しているFCは何か問題がある可能性が高い。ここを見れば、ある程度のリアルな状況がわかります。
本部の「稼ぎ方」がどこにあるかを理解する
ロイヤリティで稼いでいる本部と、「食材・備品の仕入れマージン」で稼いでいる本部では、構造が全然違います。仕入れマージン型の場合、加盟店が赤字でも本部は儲かる構造になっていることがあるので要注意です。
SVの担当者と実際に話してみる
加盟説明会で会う営業担当者と、実際に加盟後に関わるSVは別の人間です。「加盟後に担当するSVに事前に会わせてもらえますか?」と聞いてみてほしいんです。この一言に対する本部の反応が、サポートの本気度を示していることが多い。これ、ほんとに大事。
本部選びのより詳しい基準についてはこちらの記事でまとめていますので、あわせて読んでみてください。
まとめ:トラブルを知ることが、最大の加盟前リテラシー
FCに加盟することは、決して悪いことじゃありません。私自身、1店舗目では月商300万円・年間利益1,000万円という結果を出せた経験があります。仕組みが整ったFCに加盟すれば、ゼロから起業するよりも早く軌道に乗れる可能性は十分にある。
ただ、本部と加盟店の利害は必ずしも一致しない。契約書の罠・ロイヤリティの重さ・運転資金の甘い見積もり——こういった落とし穴を事前に知っているかどうかで、加盟後の景色はまったく変わります。
私が3,000万円の借金を抱えた経験は、取り返しがつかない。でもあなたには同じ失敗をしてほしくない。この記事が、加盟前の判断材料のひとつになれば——それで十分。
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よくある質問
Q. フランチャイズ本部とのトラブルが起きたとき、どこに相談すればいいですか?
A. まずは日本フランチャイズチェーン協会(JFA)や、FC専門の弁護士への相談が現実的です。中小企業庁が設けている「フランチャイズ相談センター」も無料で利用できます。私の経験上、トラブルは早期に専門家へ相談するほど解決の選択肢が広がります。手遅れになってからでは、取れる手段が一気に狭くなるので注意してください。
Q. 加盟前に本部のトラブル事例を調べる方法はありますか?
A. 開示書面に記載されている「係争中の訴訟件数」を確認するのが一番確実です。加えて、国民生活センターのデータベースや、SNSでの口コミ検索も有効です。私がすすめるのは、自分で既存加盟店のオーナーを探して直接話を聞くこと。本部が紹介する成功事例だけでなく、撤退したオーナーの声が聞けると、リアルな判断ができます。
Q. ロイヤリティが高いFCは避けたほうがいいですか?
A. 一概に「高いから避けるべき」とは言えません。ロイヤリティが高くても、それに見合う集客支援・ブランド力・SVサポートがあれば問題ないケースもあります。ただ、ロイヤリティ15%超のFCに加盟するなら、月商がどの水準にならないと黒字化しないかをシビアに試算してから判断してほしいんです。ロイヤリティ10%と15%の差は、経営に致命的な違いをもたらすことがあります。
Q. 契約期間中に撤退したい場合、違約金はどのくらいかかりますか?
A. FC契約によって大きく異なりますが、残存契約期間のロイヤリティ相当額を請求されるケースが多いです。たとえば3年契約で1年半で撤退すると、残り1年半分の支払い義務が生じることもある。撤退時の費用は加盟前に必ず契約書で確認してください。「撤退費用がゼロ」のFCもあれば、数百万の違約金が発生するFCもあります。
Q. FC加盟時に使える補助金・助成金はありますか?
A. はい、あります。代表的なのは「小規模事業者持続化補助金」「創業補助金(各自治体)」などです。ただし補助金は「後払い」が基本なので、開業資金の代わりにはなりません。あくまで設備投資や広告費の一部を補填するイメージです。本部によっては補助金申請のサポート体制があるので、加盟説明会で必ず確認してみてください。

