「本部の収支シミュレーションを見たら、月商300万円って書いてあった。でも、これって本当に達成できる数字なの?」
フランチャイズ加盟を検討している人なら、一度はこういう不安を感じたことがあるはずです。フランチャイズの売上予測の立て方を知らないまま加盟してしまうと、本部の楽観的な数字だけを信じて、気づいたら手元に現金がない、なんてことになりかねない。
私自身、整体FCに加盟して1店舗目は月商300万円を達成したものの、その成功体験を過信して多店舗展開に走り、最終的に借金3,000万円以上を抱えて撤退した経験があります。
この記事では、本部の言葉を疑うための視点と、自分で売上予測を組み立てる具体的な方法をまとめました。加盟を決める前にぜひ読んでみてください。
なぜ本部の売上予測を鵜呑みにしてはいけないのか

ここを、まず押さえてほしいです。
本部が提示してくる収支シミュレーション、あれは「理想の条件が全部そろったとき」の数字であることが多いです。本部は加盟者を募集する立場なので、どうしても数字が強調されがちになります。悪意があるとは言い切れないけど、現実の数字とズレることは普通にあります。
私が5ブランドのFCに加盟してきた経験から言うと、本部のシミュレーションには以下のような「見えにくいコスト」が抜けていることが珍しくないです。
- 広告費の自己負担分(本部が「集客サポートあり」と言っても、実際は自分でチラシ代を出す仕組みになっていたりします)
- 本部分担金(ロイヤリティとは別に徴収される管理費・システム費など)
- 採用コスト・スタッフ教育にかかる時間と費用
- 開業後1〜3ヶ月の売上が安定するまでの運転資金
ここがミソで、売上予測の「数字」よりも「何が含まれていないか」を先に確認する癖をつけたほうがいい。本当に。
私の失敗のひとつがまさにこれで、2店舗目以降の出店時に「1店舗目で上手くいったから」という根拠で、運転資金をほぼ用意しないまま動いてしまいました。開業直後って売上がゼロに近い月があるんですよね。それがわかっていたはずなのに、シミュレーションの「平均月商」しか見ていなかった。
本当に痛い授業料でした。
あなたは、本部から渡された資料の「前提条件」をちゃんと確認しましたか?「稼働率◯%を想定」「開業から◯ヶ月後の数値」など、細かい注釈が入っていることがほとんどです。そこを読み飛ばすと危ない。読み飛ばし厳禁です。
ロイヤリティの仕組みや計算方法についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、あわせて確認してみてください。
自分で売上予測を立てるための基本的な考え方

あなたは自分で売上の天井を計算したことがありますか?
じゃあどうするか。答えはシンプル。自分で数字を作ること。これだけです。
難しく考える必要はないです。基本的な式はこれだけ。
売上 = 客単価 × 客数(1日)× 営業日数
たとえば、整体FCで施術単価が8,000円、1日に回せる施術が8件、月25日営業なら、月商の上限は160万円。これが「天井」になります。
ここが出発点です。本部のシミュレーションがこの天井を超えていたら、それはそもそも物理的に無理な数字なので、即座に疑ってください。疑って正解です。
天井がわかったら次に「現実的な稼働率」をかけます。開業直後は集客ゼロからのスタートなので、最初の3ヶ月は稼働率20〜40%くらいが現実ライン。つまり月商は32〜64万円。本部が「平均月商150万円」と言っていても、それは軌道に乗った後の話です。
開業から軌道に乗るまでの「助走期間」を前提に、最低3〜6ヶ月分の運転資金を手元に置くのが鉄則です。
もうひとつ見てほしいのが、同業態のFCの「既存加盟店の実績」。本部に「既存加盟店の平均月商と、開業から何ヶ月で黒字転換しているか」を数字で出してもらうと、シミュレーションの信ぴょう性がグッと確認しやすくなります。出せないって言うなら、それ自体がひとつのサインです。要注意。
立地・商圏データを使った売上予測の精度の上げ方

売上予測って、業態の計算式だけじゃなくて「場所」の要素がめちゃくちゃ大きいです。
同じブランドでも、立地が変わるだけで月商が2倍違うケースは普通にあります。私が加盟した整体FCも、1号店は駅徒歩3分の好立地だったのが大きかった。スタッフ2人で月商300万円を達成できたのは、業態の強さだけじゃなくて立地の恩恵がかなりありました。正直、立地7割だったと思っています。
商圏分析(店舗から半径500m〜1km以内の人口・競合・動線などを調べること)は、加盟前に必ずやってほしい作業です。
チェックするのは以下の3点。
- 店舗候補地の徒歩圏内人口(Googleマップと国勢調査データで大まかに確認できます)
- 競合店の有無と価格帯(近くに同業態・類似業態が何店舗あるか)
- 通行量と導線(昼と夜・平日と週末で大きく変わるので、実際に何日か足を運んで確認する)
余談ですが、私が多店舗展開で失敗したとき、2店舗目以降は「本部が出してきた候補地」をほぼそのまま採用していたんですよ。自分で立地の検証をほとんどしていなかった。これは今でも後悔しています。本当に。
本部が提案する立地情報をそのまま信頼するのは危険です。本部はFCの「売上を最大化したい」のではなく、「出店数を増やしたい」インセンティブが働くことがあるので、立地の判断は自分で最終確認するのが必須です。
商圏データの収集に困ったら、中小企業診断士や地域の商工会に相談するのも手です。費用が安いか無料のことも多いので活用してみてください。
FC加盟前の立地調査の具体的な手順についてはこちらの記事で詳しくまとめています。
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コスト構造を逆算して「本当に黒字になるか」を確かめる方法

コストを逆算したことはありますか?
売上予測が立てられたら、次はコストを逆算します。ここまでやって初めて「本当に稼げるか」がわかります。
基本の損益構造はこんな感じです。
売上 − 変動費 − 固定費 = 営業利益
変動費というのは、売上に連動して増減するコストのことです。整体などのサービス業なら主に人件費・消耗品費・材料費あたり。固定費は家賃・光熱費・ロイヤリティ(本部に毎月払うお金のこと)・本部分担金など、売上に関わらず毎月出ていくお金です。
ぶっちゃけ、ここを甘く見て加盟する人がほんとに多い。
ここで私が強調したいのが、ロイヤリティの差がどれだけ経営に効いてくるか、という話です。
ロイヤリティが売上の10%か15%かって、たった5%の差じゃないかと思うかもしれない。でも月商200万円なら差額は10万円。年間120万円。5年で600万円です。この差が、経営の存続を左右することがあります。加盟する前に、ロイヤリティ料率と計算方式(売上の何%か・粗利の何%か・定額かで全然違います)は絶対に確認してください。
ロイヤリティに加えて、もう一個見落とされがちなコストがあります。「加盟金の回収期間」です。
加盟金300万円を払ったとして、その回収に何年かかるか計算したことありますか?月の利益が20万円なら、加盟金だけで15ヶ月分。そこに内装費・設備費・保証金を足したら、回収まで3〜5年かかるFCはざらにあります。
「何年で初期投資を回収できるか」を試算してから加盟を決めるだけで、判断の精度がかなり変わります。
FC加盟にかかる初期費用の内訳についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
売上予測を本部と一緒に検証する際の質問リスト

本部との加盟交渉の場で、売上予測に関して確認すべき質問があります。ちゃんと聞いていますか?
ぶっちゃけ、ほとんどの人が聞かないんですよ。でも聞くだけで本部の誠実さと情報開示の姿勢がかなりわかります。
まずやってほしいのは、「既存加盟店の月商の分布(最低・平均・最高)を教えてください」という質問です。平均値だけ出してくる本部は要注意。分布を見ないと、一部の優秀な店舗が平均を引き上げているだけの可能性があります。
そこに加えて、「開業から黒字転換までの平均月数」を聞いてみてください。「3ヶ月で黒字転換します」と即答できる本部は信頼度が上がります。とはいえ、曖昧にはぐらかしてくる場合は慎重に。
あともうひとつ確認してほしいのが「撤退した加盟店の割合と理由」です。教えてもらえないこともあるけど、開示してくれる本部は誠実さの証明になります。
ちょっと話がそれますが、私が多店舗展開で失敗したあと、他のFCブランドに加盟し直すとき、この質問を徹底的にやるようにしました。そうしたら「それは答えられません」「個別の事情があります」という返し方をされたブランドが2社あって、そこは見送りました。正解だったと思っています。
SVサポート(スーパーバイザーによる巡回指導)の頻度と内容も確認してほしいです。売上が伸び悩んだときに本部が何をしてくれるか。「集客のための施策を一緒に考えてくれるのか」「ただ数字を確認しにくるだけなのか」は天と地ほど差があります。
契約書に記載されていないサポート内容は、口頭で約束されても法的に守られません。「書面で確認させてください」と言える勇気を持ってほしいんです。これ、カギになります。
フランチャイズの売上予測の立て方、ポイントをまとめます。
本部の数字を入口にしつつ、自分で「客単価×客数×営業日数」の上限を計算し、開業からの助走期間を加味した現実的な稼働率をかける。コスト構造を逆算して本当に黒字になるか確かめる。立地・商圏データで精度を上げる。本部に正直な情報を出してもらう質問をぶつける。この流れが基本です。
売上予測は本部に作ってもらうものじゃなく、自分で検証するもの。それだけで全然変わります。
私は1店舗目の成功で慢心して、この検証を怠ったまま多店舗展開に走って3,000万円超の借金を抱えました。同じ轍を踏んでほしくないので、面倒でも数字と向き合う時間を作ってほしいんです。加盟前の1時間が、後悔のない開業につながります。あなたの独立が上手くいくことを、心から応援しています。
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よくある質問
Q. フランチャイズの売上予測はどうやって立てればいいですか?
A. 「客単価×1日の客数×営業日数」が基本の計算式です。これで月商の上限(天井)を出したうえで、開業直後の稼働率(最初の3ヶ月は20〜40%が現実的)をかけて現実ラインを算出します。本部のシミュレーションと突き合わせて、数字のズレがないか確認する作業がカギになります。
Q. 本部が提示する収支シミュレーションは信頼できますか?
A. 信頼できる部分とそうでない部分があります。特に「前提条件」の確認が必須です。以下を必ずチェックしてください。
- 開業何ヶ月後の数字か
- 稼働率は何%を想定しているか
- 広告費・本部分担金は含まれているか
私が加盟した複数のブランドでも、広告費や採用コストが抜けているシミュレーションは珍しくありませんでした。
Q. 開業前に準備しておくべき運転資金の目安はどれくらいですか?
A. 業態にもよりますが、最低でも3〜6ヶ月分の固定費(家賃+ロイヤリティ+人件費)を手元に残しておくのが基本です。私は1店舗目の成功で油断し、2店舗目以降の運転資金をほぼ用意しないまま出店して撤退を余儀なくされました。売上ゼロの月があることを前提にした資金計画を立ててください。
Q. フランチャイズ加盟前に本部に確認すべき数字は何ですか?
A. 最低限、以下の4つは確認してください。
- 既存加盟店の月商の分布(最低・平均・最高)
- 開業から黒字転換までの平均月数
- ロイヤリティの料率と計算方式
- 撤退加盟店の割合と主な理由
これらを書面で開示してもらえる本部かどうかが、誠実さを判断するひとつの基準になります。
Q. 立地選びは売上予測にどのくらい影響しますか?
A. 非常に大きく影響します。同じブランド・同じ業態でも、立地の差で月商が2倍変わることは普通にあります。私の1店舗目が好調だった理由の一つは駅近の好立地でした。商圏内の人口・競合店の数・通行量を自分の目で確認する作業は、加盟前に絶対にやってほしいです。本部が提案する立地をそのまま鵜呑みにするのは避けてください。

