フランチャイズの損益分岐点計算、ちゃんとやってますか?「本部から収支シミュレーションをもらったし大丈夫」と思っている人、ちょっと待ってほしい。私は整体・ピラティス・小顔整体など5ブランドにFC加盟してきて、1店舗目はスタッフ2人で月商300万円という好調なスタートを切りました。でも多店舗展開で運転資金の計算を甘く見て、最終的に借金3,000万円以上を抱えて撤退した経験があります。あのとき損益分岐点を正確に把握していれば、全然違う結果だったと今でも思っています。この記事では、FC加盟前に自分で計算しておくべき損益分岐点の出し方と、本部のシミュレーションには載ってこない「見えないコスト」まで、包み隠さず書いていきます。
フランチャイズの損益分岐点とは何か?基本の計算式から理解する

損益分岐点って、言葉は聞いたことあっても「で、具体的に何を計算するの?」ってなりがちですよね。シンプルに言うと、「赤字にも黒字にもならない、ギリギリ±ゼロになる売上高」のことです。これを下回ると赤字、上回ると黒字。当たり前のようで、これを正確に出せていない人がめちゃくちゃ多い。
計算式はこうです。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
変動費率というのは、売上に対して変動費(材料費・歩合給・ロイヤリティなど)が占める割合のことです。たとえば売上100万円に対して変動費が40万円なら、変動費率は40%。
例えば固定費が60万円、変動費率が40%の場合、損益分岐点は「60万 ÷(1−0.4)= 100万円」になります。つまり月商100万円を超えないと赤字、ということ。
ここがミソで、FCビジネスでは「変動費にロイヤリティが入る」という点が一般の自営業と大きく違います。ロイヤリティ(本部に毎月払うお金のことです)は売上の何%という形が多いので、変動費として扱うのが正確です。
ロイヤリティが10%と15%、どちらでも「まあ大差ないか」と思う人がいるんですが、ぶっちゃけ大間違い。売上300万円の場合、10%なら30万円、15%なら45万円。毎月15万円の差は年間180万円の差になります。これが経営に致命的な違いをもたらすというのは、私自身が5ブランド加盟して痛いほど実感しています。
ロイヤリティの仕組みや種類についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせて読んでみてください。
あなたが検討しているFCのロイヤリティ、何%ですか?まずそこから確認してみてほしい。
FC加盟の損益分岐点計算で見落とされやすい「隠れコスト」

本部からもらう収支シミュレーション、あれ、正直なところ甘いケースが多いです。「モデルケース」として好条件の数字が並んでいることも珍しくない。じゃあ自分でどこを足さないといけないのか。
ぶっちゃけ、見落としが一番多いのは「本部分担金」や「広告分担金」です。絶対に見落としてはいけないのがこの費用で、ロイヤリティとは別に毎月取られるお金で、売上の1〜3%くらいかかるFCがざらにあります。「なんか知らないうちに引かれてる」みたいな話、FC経営者同士でよく出てきます。私自身、2店舗目の開業後に初めて明細を細かく確認して「あれ、この項目なんだっけ」となった経験があります。
次に人件費の計算が甘いケース。「オーナー自身が現場に入るから人件費ゼロ」という前提で計算しているFCオーナー、多いんですよね。でも自分の労働に対する報酬を計算に入れないと、実態は赤字経営なのに「なんとか回ってる」と勘違いしてしまう。オーナーの人件費は月25〜35万円程度を固定費として計上するのが現実的です。
あともうひとつ、見落としがちなのが「初期費用の償却」です。加盟金・内装費・設備費などをトータルした初期投資額を、何年で回収するかを月割りにして固定費に乗せないと、損益分岐点が低く見えすぎます。たとえば初期費用1,000万円を5年で回収したいなら、月約16.7万円を固定費に足す必要があります。
固定費に含めるべき項目を整理すると、このあたりです。
- 家賃・共益費
- 人件費(オーナー分含む)
- リース料(機器・什器)
- ロイヤリティ(定額制の場合)
- 本部分担金・広告費
- 初期投資の月割り償却
- 水道光熱費
- 通信費・システム費
変動費に含めるべきは、材料費・消耗品費・変動給・ロイヤリティ(売上連動型の場合)あたり。これを全部入れて計算して初めて、「本当の損益分岐点」が見えてきます。
あなたのリストに、ここに書いた項目がすべて入っていますか?ひとつでも抜けがあると、計算結果がまるで変わってきます。
私が3,000万円の借金を抱えた理由|損益分岐点を甘く見た実体験

ちょっと恥ずかしい話なんですが、包み隠さず書きます。
1店舗目は本当に調子よかったんです。スタッフ2人で月商300万円。整体業界でスタッフ1人あたりの月商が90〜110万円が安定ラインと言われている中で、うちは1人あたり150万円ペースで回っていました。1年で利益は約1,000万円。「これはいける」と思ったのは、正直な気持ちです。
で、ここからが失敗の始まりで。「1店舗目のやり方をそのまま再現すれば、2店舗目も3店舗目も同じように伸びるはずだ」という思い込みが生まれてしまった。運転資金をほぼ用意せずに多店舗展開を進めたのが、致命的なミスでした。
損益分岐点の計算も、「1店舗目でこの数字だったから同じくらいの数字になるはず」という楽観的な見立てをしていました。ただ現実は違って。新店舗は立ち上がりに時間がかかる。スタッフ教育コストもかかる。そして追い打ちをかけるように社員が退職した。
2店舗目・3店舗目と展開していくにつれて、固定費は積み上がる一方、売上は計画通りに伸びない。しかも各店舗の損益分岐点を正確に把握していなかったから、「いつ撤退すべきか」の判断も遅れてしまった。4店舗目が売上不振になったとき、すでに手元のキャッシュはほぼなくて。最終的に借金3,000万円以上を抱えて全店舗から撤退することになりました。
初期費用は1店舗あたり約1,000万円。この数字に見合うだけの利益を出せるかどうかを、各店舗ごとに冷静に計算していれば、少なくとも撤退判断はもっと早くできたはずです。
「1店舗目がうまくいったから」という成功体験が、むしろ計算を甘くする罠になる。心当たり、ありませんか?FC加盟の失敗パターンについてはこちらの記事でも詳しく取り上げています。
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損益分岐点から逆算する「安全な月商目標」の立て方

損益分岐点がわかったら、次は「じゃあどれくらい売れれば安全か」を逆算してみてほしい。損益分岐点ちょうどで経営するのは、綱渡りと同じです。ちょっと売上が落ちたら即赤字になる。
目安として、損益分岐点の1.2〜1.3倍を「安全な月商目標」として設定するのがいいです。損益分岐点が100万円なら、月商120〜130万円を最低ラインの目標にする感じ。これくらいの余裕があると、予期しないコスト発生やスタッフ退職による一時的な売上ダウンにも耐えられます。
じゃあその月商目標、そのFC業態で本当に達成できるのか?ここを検証する方法がいくつかあります。
まずやってほしいのは、本部の収支シミュレーションをもとに、「最悪ケース・標準ケース・好調ケース」の3パターンで損益分岐点を計算し直すこと。最悪ケースは本部想定の70%の売上で計算してみる。これで耐えられるキャッシュがあるかを確認します。
次に、既存加盟店のオーナーに話を聞く。本部が紹介してくれる加盟店オーナーはだいたい成功者なので、できれば自分で探した加盟店に直接訪問するのが理想です。「実際の月商はどのくらいですか?」「損益分岐点に達するまで何ヶ月かかりましたか?」と聞いてみるだけで、かなりリアルな情報が得られます。
あともうひとつ。開業から黒字転換するまでの期間(一般的に3〜6ヶ月)の運転資金を、手元に現金で持っておくこと。私の最大の失敗がここでした。運転資金がないと、赤字でも経営を続けるために借り入れを重ねることになる。それが借金3,000万円につながりました。これ、ほんとに笑えない話です。
補助金を活用して初期費用や運転資金の負担を減らす方法については、こちらの記事で解説していますので参考にしてみてください。
撤退リスクを下げるために契約前に確認すべきこと

損益分岐点の計算と同じくらい、というかそれ以上に、「撤退するときのコスト」を契約前に把握しておくことがカギになります。これ、見落としているFC加盟希望者が本当に多い。
FC契約には中途解約違約金が設定されているケースがあります。「契約残存期間の月額ロイヤリティ×残月数」という計算をするFCもあって、たとえば5年契約の2年目で撤退しようとすると、残り3年分の違約金が発生する可能性もある。撤退コストが損益分岐点の計算に入っていない人は、今すぐ契約書を見直してほしいです。
撤退費用として計上すべき項目をざっと挙げると、
- 中途解約違約金
- 内装・設備の原状回復費用
- リース残債
- スタッフへの退職金・清算費用
これを全部合計すると、最悪のケースで数百万円規模になることも珍しくありません。ぶっちゃけ、「撤退したいのに撤退できない」状態になっている加盟者を、私は何人も見てきました。
また、経営者保証ガイドライン(個人保証を外すための制度のことです)の活用も、知っておいてほしい話です。銀行融資で個人保証を求められるのが当たり前と思っている人も多いんですが、最近はこのガイドラインを使って連帯保証を外す交渉ができるケースがあります。融資を受ける前に金融機関に確認してみる価値は十分あります。
本部のサポート体制も、損益分岐点に直結します。集客をどこまで本部がサポートしてくれるか、SVサポート(スーパーバイザー、いわゆる経営指導員のことです)の質はどうか。これは本部によって天と地ほど違う。SVが月1回訪問してくれる本部と、電話すらなかなかつながらない本部とでは、開業後の売上の立ち上がりスピードに大きな差が出ます。これも損益分岐点を達成できるかどうかに関わる話です。
契約書、ちゃんと読みましたか?
フランチャイズの損益分岐点計算、ここまで解説してきました。改めて要点を振り返ります。
損益分岐点は「固定費 ÷(1 − 変動費率)」で計算できます。FCの場合はロイヤリティや本部分担金など見落としやすいコストを必ず変動費・固定費に組み込む。本部のシミュレーションは楽観的すぎることが多いので、最悪ケースで計算し直す習慣が身を守ります。
そして損益分岐点の1.2〜1.3倍を月商目標に設定し、黒字転換までの運転資金を現金で手元に持っておくこと。これが私が3,000万円の借金から得た、最も重要な教訓です。
加盟前にちゃんと計算した人と、「なんとなく大丈夫そう」で進んだ人では、1年後・2年後の経営状況が全然違います。数字は嘘をつかない。ちゃんと計算した人だけが、後悔しない選択ができる。
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よくある質問
Q. フランチャイズの損益分岐点はどうやって計算しますか?
A. 基本の計算式は「固定費 ÷(1 − 変動費率)」です。FCの場合、変動費にロイヤリティ(売上連動型の場合)を含めるのがポイント。固定費には家賃・人件費・リース料・本部分担金・初期投資の月割り償却なども忘れずに計上してください。本部のシミュレーションをそのまま使うのではなく、自分でコストを洗い出して計算し直すことをおすすめします。
Q. 本部からもらった収支シミュレーションを信用していいですか?
A. 完全に信用するのは危険です。本部のシミュレーションはモデルケース(好条件)ベースで作られていることが多く、広告分担金や本部分担金、オーナー自身の人件費などが含まれていないケースもあります。私自身の経験からも、本部の数字の70%の売上を最悪ケースとして計算し直してみることを強くすすめます。
Q. 損益分岐点に達するまで何ヶ月かかるのが普通ですか?
A. 業態や立地によって変わりますが、一般的に3〜6ヶ月かかると見ておくのが現実的です。私の1店舗目は比較的早期に黒字化できましたが、2店舗目以降は立ち上がりに時間がかかりました。その間の運転資金を手元に用意しておくこと。最低でも固定費の3〜6ヶ月分のキャッシュは必要だと考えています。
Q. ロイヤリティが高いFCは損益分岐点にどう影響しますか?
A. 直接的に変動費率が上がるので、損益分岐点が高くなります。たとえばロイヤリティが10%と15%では5%の差ですが、月商300万円で計算すると年間180万円の差になります。ロイヤリティが高い分、本部のサポートや集客力で補えるかどうかを契約前に確認するのがカギになります。
Q. FC加盟の初期費用を損益分岐点の計算に入れるべきですか?
A. 入れるべきです。初期費用(加盟金・内装費・設備費など)を回収したい年数で割って、月割り額を固定費に計上するのが正確な計算方法です。たとえば初期費用1,000万円を5年で回収するなら、月約16.7万円を固定費に加算します。これを入れないと損益分岐点が低く見えすぎて、「黒字のはずなのに投資回収できない」という状態になってしまいます。

