フランチャイズで複数ブランドを経営したい、と考えている人はけっこういます。「1つうまくいったから次も」「リスク分散したい」「収入の柱を増やしたい」——気持ちはよくわかります。私(富永)自身、整体FCに加盟して1店舗目が月商300万円と好調だったとき、まさに同じことを考えていました。
ただ、その先にあったのは借金3,000万円以上を抱えての撤退でした。
この記事では、整体・ピラティス・小顔整体など5ブランドに加盟してきた経験をもとに、複数ブランド経営の実態を正直にお伝えします。成功させたいなら読んでほしいし、検討中なら絶対に知っておいてほしいことを詰め込みました。
複数ブランド経営と1ブランド多店舗——フランチャイズ加盟で迷う人への決定的な違い

あなたが今考えているのは、「同じFCを増やすこと」ですか?それとも「別のFCを並行して動かすこと」ですか?
ここ、ちゃんと区別して考えてほしいんです。リスクの種類がぜんぜん違うから。
1ブランド多店舗は、同じFCに複数加盟すること。オペレーションが統一されているので、スタッフ教育やマニュアルの使い回しが効きます。スーパーバイザー(本部から来るサポート担当者のことです)との連絡窓口も1本化されていて、管理コストが比較的低い。
だけど複数ブランド経営は、異なるFC本部と契約して、複数の業態を同時に回すことです。たとえば整体FCと学習塾FCを並行して経営するイメージ。ロイヤリティの支払い先が増え、契約書の内容も業態ごとに違う。管理コストは掛け算式に増えていきます。
1ブランド多店舗は「同じ型の量産」なので、1店舗目の成功パターンが再現しやすい。とはいえ、複数ブランドは「別の型を同時に動かす」ので、それぞれのビジネスモデルへの理解が必要になります。私が最初に展開したのは1ブランドでの多店舗でしたが、それでも痛い目を見た。複数ブランドを同時に回すのは、さらにレベルが上がります。
余談ですが、「複数ブランドで分散すれば安全」と言う人がいます。確かに理屈はわかる。でも経営リソース(お金・時間・人)が分散するリスクのほうが、私は気になります。
カギになるのは「管理できるキャパシティ」をどれだけ正直に見積もれるか。それが複数ブランド経営を始める前の最初の問いです。
ロイヤリティの仕組みや本部との契約関係についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、合わせて読んでみてください。
複数ブランドのメリット——本当においしいのはどんなケース?

正直に言います。複数ブランド経営にメリットがないわけじゃない。
ただ、「誰にでも当てはまるメリット」ではなく、「特定の条件が揃ったときに活きるメリット」だと私は考えています。あなたの状況、今その条件を満たしていますか?
まず収益の分散効果。季節変動がある業態(たとえば冷暖房需要に左右されやすいリフォーム系や、受験シーズンに波がある学習塾など)を複数持つことで、年間を通じたキャッシュフローが安定しやすくなります。
次に相乗効果が生まれるケース。たとえば整体と美容系のFCを同じ商圏で展開すると、顧客の送客が起きることがあります。実際、私が加盟したピラティスFCと整体FCは顧客層が近くて、「整体に来たお客さんがピラティスにも興味を持つ」という動きがありました。うまくハマれば強い。
あとは交渉力の向上。複数ブランドを経営することで、各本部との交渉で「他のFCと比較してる」という立場が生まれます。ロイヤリティ(本部に毎月払うお金のことです)の条件交渉や、出店サポートの優先度が上がることもある。
ただ——これらのメリットは全部「資金が底をついていないとき」の話です。
キャッシュが回っているとき、人材が安定しているとき、管理する体制が整っているとき。その3つが揃って初めてメリットが活きてくる。逆に言えば、どれか1つが欠けた状態で複数ブランドに手を出すと、あっという間に詰みます。
「1店舗目がうまくいっているから大丈夫」と思っている人こそ、一度立ち止まってほしい。それが次のセクションで話すことにつながります。
失敗するパターンはだいたい同じ——私が借金3,000万円を抱えた理由

ぶっちゃけ、多店舗・複数ブランド展開で失敗する人の話を聞くと、「あ、これ私と同じだ」ってなることがほんとに多いです。
私の話をします。
整体FCの1店舗目はスタッフ2人で月商300万円。整体業界の標準が一人当たり月商90〜110万円と言われているので、かなり好調でした。1年で利益は約1,000万円。「この調子でいける」と思った。
思いっきり調子に乗りました。
2店舗目、3店舗目と出していく中で、運転資金(お店が軌道に乗るまでの間、赤字を穴埋めするお金のことです)をほとんど用意しないまま出店し続けたのが最大の失敗でした。1店舗目は立ち上がりが早かったから、「どうせすぐ黒字になる」と思い込んでいたんです。
でも現実は違った。社員が退職して採用コストがかさむ。新店舗の集客が予想より遅い。4店舗目は売上が立たないまま固定費だけが出ていく。止まらないんです、本部への支払いって。ロイヤリティも、家賃も、リース料も、毎月確実に出ていく。
最終的に借金は3,000万円以上。4店舗目の失敗が引き金で撤退を決めました。初期費用だけで約1,000万円かけた店を閉めるときの感覚は、今でも覚えています。
複数ブランド経営を考えている人に伝えたいのは——1店舗目の成功体験は、次の店舗の成功を保証しないということです。
業態が変わればなおさらです。別ブランドのFCは、本部が違う。教育も違う。顧客も違う。集客の立ち上がりスピードも違う。「1ブランド目でうまくいったパターン」を別ブランドにそのまま当てはめるのは危険です。
あともうひとつ、見落としがちなのが撤退時のコスト。契約書にはたいてい「中途解約違約金」が書かれています。複数ブランドを持てば持つほど、撤退できない状況に追い込まれるリスクが高くなる。契約書の読み方についてはこちらの記事でチェックリストをまとめています。
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FC多店舗展開で成功するために見るべき5つの判断軸

じゃあどうすれば成功できるのか。
5ブランドに加盟して、成功も失敗も経験した立場から言うと、判断すべきポイントは5つあります。あなたは今、いくつクリアできていますか?
① 運転資金は「最低6ヶ月分」確保できているか
新店舗の売上が軌道に乗るまでにかかる期間を、最低6ヶ月と見てほしいです。月の固定費×6ヶ月分のキャッシュが手元にある状態で出店するのが鉄則。借り入れをする場合は、運転資金分も含めて借りること。私が失敗したのは、ここをなめていたからです。
② 各ブランドの「ロイヤリティ率」を合計で計算しているか
ロイヤリティが10%と15%では、売上の5%の差。月商200万円なら毎月10万円の違いです。年間120万円。これは経営に致命的な差になります。複数ブランドを持つなら、全ブランド合算のロイヤリティ負担を必ず計算してください。
③ 管理できる「人材体制」があるか
複数ブランドを経営するということは、それぞれのスタッフを別々に管理するということ。社員が1人抜けたときに経営が傾く体制では、絶対に複数ブランドに手を出してはいけません。人材体制だけは、お金では一気に解決できないんです。
④ 本部のサポート品質を比較したか
集客力・スタッフ教育・SVサポートは、本部によって天と地ほど違います。複数ブランドを並走させるなら、少なくとも1つは「サポートが厚い本部」を選ぶのがベターです。困ったときに頼れる本部があるかどうかで、危機への対応速度がぜんぜん変わります。
⑤ 撤退シナリオを事前に描いているか
これ、やっている人が少ない。でも最重要に近い。入る前に「どの状態になったら撤退するか」を決めておくのがカギになります。売上がX円を下回ったら、赤字がYヶ月続いたら、など。感情が入ると撤退判断が遅れます。判断基準を先に決めておくだけで、被害を最小化できます。
複数ブランドを検討しているなら、この5軸で自分の状況を正直に採点してみてください。
複数ブランド加盟前に知っておきたい「お金の話」——補助金と借入リスク

お金の話、ちゃんとしましょう。
FC加盟時に使える補助金があること、知ってました?たとえば小規模事業者持続化補助金(広告費や内装費などに使えるケースがあります)は、複数ブランドへの加盟でも活用できる場合があります。加盟前に商工会議所や中小企業診断士に相談してみてほしいです。
借り入れについてはどうか。
複数ブランドを経営しようとすると、資金需要が大きくなります。当然、融資を受けることになる人も多い。このとき気をつけてほしいのが「個人の連帯保証」です。法人で加盟したとしても、代表者個人が連帯保証人になるよう求められるケースがほとんど。会社が倒れると個人の財産も守れなくなります。
ここで知っておいてほしいのが経営者保証ガイドライン(経営者個人の連帯保証をなくしたり、条件を緩和するための指針のことです)。金融機関との交渉次第では、連帯保証を外せるケースがあります。私が加盟したころはあまり意識していなかったんですが、今ならちゃんと交渉すべきでした。
加盟金の回収期間も必ず計算してください。FC加盟金(最初に本部に払う一時金)の回収には、業態によっては3〜5年かかるものもあります。複数ブランドを持つと、回収しきれないまま次の投資をすることになりかねない。
「加盟金が安い=お得」じゃないし、「ロイヤリティが低い=儲かる」でもない。トータルのお金の流れを事業計画書に落とし込んで、少なくとも3年分のシミュレーションをしてから動いてほしいです。
FC加盟時の初期費用や回収期間の考え方はこちらの記事でも詳しく紹介しています。
まとめ:複数ブランド経営は「準備した人だけの選択肢」
フランチャイズの複数ブランド経営は、ロマンがあります。収益の分散、相乗効果、スケールアップ——理屈は全部正しい。
でも私が借金3,000万円を抱えて撤退した経験から言えるのは、準備が整っていない人が手を出すと、1ブランドの失敗より深い穴に落ちるということです。
運転資金の確保、ロイヤリティ負担の合計計算、人材体制、本部サポートの質、撤退シナリオの事前設定——この5つが揃って初めて「やってみる価値がある」と私は考えています。
1店舗目がうまくいっているなら、まずその成功を安定させることに集中してほしいです。焦って広げなくていい。複数ブランド経営は、逃げないです。
あなたの挑戦が、ちゃんと報われるものになってほしいと思っています。
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よくある質問
Q. フランチャイズで複数ブランドを経営するのに向いている人は?
A. 1店舗目が安定黒字で、運転資金を6ヶ月分以上確保できており、管理できる人材体制が整っている人に向いています。私の経験上、「1店舗目がうまくいったからすぐ次へ」という感覚で動く人は失敗しやすい。焦りより準備です。
Q. 複数ブランド経営と1ブランド多店舗展開はどちらが安全ですか?
A. 一概には言えませんが、オペレーションの統一性が高い分、1ブランド多店舗のほうがリスク管理はしやすいです。複数ブランドは本部が違うため、管理コストと対応負荷が掛け算で増えます。私は1ブランドの多店舗展開でも失敗したので、どちらも準備なしには危険だと考えています。
Q. 複数ブランドのロイヤリティ負担はどう考えればいいですか?
A. 各ブランドのロイヤリティ率を合計して、全体の売上に対して何%が本部に流れるかを計算してください。ロイヤリティが10%と15%では年間で見ると数百万単位の差になることも。複数ブランドを持つほどこの負担は重くなるので、事業計画の段階でトータル計算を必ずしてみてください。
Q. 複数ブランドへの加盟で補助金は使えますか?
A. 業態や規模によりますが、小規模事業者持続化補助金や創業関連の助成金が活用できるケースがあります。ただし補助金は「後払い」が基本なので、資金繰りの穴埋めには使えません。あくまで追加の支援として捉えて、メインの資金計画は自己資金・融資で組むのが鉄則です。
Q. 複数ブランド経営で撤退するときのリスクは?
A. 各ブランドの契約書に「中途解約違約金」が設定されているケースが多く、複数ブランドを持つと撤退コストが膨らみます。加盟前に必ず契約書の解約条件を確認してください。私の経験では、撤退判断が遅れるほど損失が拡大しました。入る前に「撤退基準」を数字で決めておくことを強くすすめます。

