介護フランチャイズで失敗した、という声がここ数年でほんとうに増えています。「安定した需要があるはず」と信じて加盟したのに、気づいたら借金だけが残っていた——そんな話、一度や二度じゃ聞きません。
私自身、整体FCやピラティスFCなど5ブランドに加盟してきた経験があります。1店舗目はスタッフ2人で月商300万円、年間利益約1,000万円という好調なスタートを切りました。ただ調子に乗って多店舗展開を進めた結果、最終的に借金3,000万円以上を抱えて撤退することになりました。
だからこそわかる。失敗には必ず「パターン」があります。
この記事では、介護フランチャイズで失敗する人に共通する原因と、加盟前に絶対に確認してほしいポイントを、私の実体験も交えながらお伝えします。
介護フランチャイズで失敗する人に共通する3つの原因

あなたは「介護は高齢化社会だから絶対に需要がある」と思って加盟を検討していませんか?
その思い込みこそが、失敗の入口になっているケースがものすごく多いです。
需要があることと、あなたの店舗が儲かることは、まったく別の話なんですよ。
失敗する人が持っている最大の誤解、それは「業界の成長=自分の利益」という図式です。
介護業界はたしかに市場規模が拡大しています。とはいえ同時に、競合も増えています。人材採用が難しい業界でもあります。そして利用単価は介護保険制度(国が定める価格のルール)によって上限が決まっているため、売上を自由に伸ばしにくい。この構造、加盟前に知っている人がどれだけいるか——ぶっちゃけ少ないんですよね。
原因の1つ目は、「需要神話」への過信です。市場が伸びているのは本当。ただ、だからといってどの事業者も稼げるわけじゃない。ここのギャップをちゃんと認識できているかどうかで、加盟後の現実認識がぜんぜん違います。
2つ目の原因は、運転資金の甘さです。介護FCは開業してもすぐに利益が出ません。利用者を集めて、ケアマネージャー(介護サービスをコーディネートする専門職)にルートを作って、スタッフを定着させて——ここまでに最低でも半年、早くても3〜4ヶ月はかかります。その間、毎月の固定費は容赦なく出ていく。運転資金を「3ヶ月分あれば大丈夫」と思って加盟した人が、6ヶ月後に資金ショート(お金が底をついた状態)して撤退というパターン、ほんとうによく聞きます。
私自身の失敗もここにあります。1店舗目の成功体験があったから「なんとかなる」と思って、2店舗目以降の運転資金をほぼ用意しないまま出店を続けた。社員の退職が重なり、売上が想定を下回り、あっという間に資金が溶けていきました。
3つ目は、本部のサポートへの過信です。「FCだから本部がなんとかしてくれる」という期待が高すぎる人は危ない。集客力・スタッフ教育・SV(スーパーバイザー:本部から派遣される経営アドバイザー)のサポート質は、本部によって天と地ほど違います。加盟前の説明会で聞いた内容と、実際のサポートが全然違った——これが失敗の導火線になるケース、少なくないんですよ。
介護フランチャイズのロイヤリティと費用の構造を知っていますか?

費用の話、ちゃんとしておきます。加盟前にしっかり理解できている人、めちゃくちゃ少ないんです。
ロイヤリティ(本部に毎月払うお金)は、介護FCによって定額制のものと売上の数%を払う方式のものがあります。ここがミソで、「売上の10%」と「売上の15%」では、5%分の差がずっと毎月積み重なっていく。
具体的に考えてみましょう。月商200万円の店舗だと、10%なら20万円、15%なら30万円。この差が毎月10万円。年間で120万円。3年で360万円です。この金額、加盟前に意識できていましたか?
ロイヤリティ以外にも、加盟時に想定外の費用が発生することがあります。主なものを挙げると——
- 広告費分担金(本部の広告費を各加盟店で按分するもの)
- 研修費・教育費
- システム利用料(介護記録ソフトなどのクラウドシステム)
- 制服・備品の指定購入
これらをぜんぶ足すと、毎月の固定費がかなり重くなります。介護FCは利用単価が保険制度で上限が決まっているからこそ、コスト構造をきちんと把握しておかないと、売上は立っているのに手元にお金が残らないという状況になりやすいんです。
加盟前にやってほしいのが、損益シミュレーションの自作です。本部からもらうシミュレーションは「うまくいった場合」の数字になっていることが多い。だからそれを鵜呑みにせず、売上が想定の60〜70%しか取れなかった場合でも耐えられるかどうか、自分で計算してみてください。
フランチャイズのロイヤリティ仕組みを詳しく解説した記事もあわせて読んでみてほしいです。
心当たり、ありませんか?「本部のシミュレーションがそのまま実現すると思っていた」って。
契約書に潜む落とし穴——撤退時のリスクを甘く見るな

これ、加盟前に読み飛ばす人が一番多くて、一番後悔するポイントです。本当に大丈夫ですか?
契約書の中身は、加盟前に必ず弁護士か中小企業診断士にチェックしてもらってください。これだけで全然変わります。
介護FCの契約書でとくに注意してほしいのは以下の項目です。
まずやってほしいのは、中途解約条項の確認です。「何年以内に解約した場合は違約金○○万円」という条項が入っていることがほとんどです。この金額、なめてたら大変なことになります。100万〜300万円を超えるケースも珍しくない。撤退を決断したときに「解約できない」「解約したら追加で大きなお金がかかる」という状況になるのが、一番しんどいんです。
止まらないんです、本部への支払いって。撤退を決断した後でも、解約手続きが完了するまで毎月のロイヤリティは発生し続けます。
次に確認してほしいのが、競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)の範囲です。競業避止義務とは、「契約終了後も一定期間・一定地域内で同業の事業をしてはいけない」という縛りのこと。これが広範囲に設定されていると、撤退後に同じ業種で再起しようとしてもできない、という事態になります。
あともうひとつ、個人保証(連帯保証)の問題も絶対に確認してください。法人で加盟していても、代表者個人が連帯保証人になっている場合、事業が失敗したときに個人の財産まで影響が及びます。
ただ、知っておいてほしいのが「経営者保証ガイドライン」の存在。私の経験上、これを活用できるかどうかで借入交渉の結果がかなり変わります。一定の条件を満たせば連帯保証の負担を軽減・免除できる可能性がある制度で、金融機関との交渉で使えるものです。借入を検討している方は、この制度の活用も選択肢に入れてみてください。
FC加盟の契約書チェックポイントを解説した記事も参考にしてみてください。
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介護フランチャイズで失敗しないために加盟前に確認すべきこと

じゃあどうすれば失敗を減らせるか。答えはシンプル。でも実行できている人は少ない。
あなたは、加盟前の情報収集にどれだけ時間をかけていますか?
まず絶対にやってほしいのが、既存の加盟店オーナーへの直接ヒアリングです。本部の説明会で聞く話と、実際に運営している加盟店オーナーの声は、ぜんぜん違います。本部が紹介してくれる加盟店は「うまくいっているところ」だけだったりするので、できれば自分で独自にリサーチして、直接話を聞きに行ってください。
聞いてほしい質問は主に3つ。「最初の半年はどうでしたか?」「運転資金はどれくらい用意しましたか?」「本部のサポートは実際どうですか?」この3つだけでも、リアルな実態が見えてきます。
次に、補助金・助成金の活用を検討してください。介護事業の開業時には、地方自治体の創業補助金や、人材採用・育成に使える助成金が使えるケースがあります。FC加盟時に使える補助金の情報は、本部から提供されないことも多いので、自分で調べるか、専門家に相談してみるといいです。
余談ですが、私がFC加盟で一番後悔しているのは「情報収集の甘さ」です。1店舗目の成功体験があったぶん、2店舗目以降の調査が雑になってしまった。成功しているときほど、人間って調べることをサボるんですよね。
話を戻すと——加盟前の情報収集でもう一つ大事なのが、撤退事例の調査です。そのブランドから撤退した人がどれくらいいるか、撤退理由は何か。加盟店数の推移も確認してください。加盟店数が増えていても、同時に撤退も多ければ、ぜんぜん違う意味を持ちます。
開示資料(フランチャイズ開示書類)には、既存加盟店数・解約・解除の件数が記載されています。これ、必ず読んでください。法律上、本部は加盟前に開示書類を交付する義務があります。受け取ったままファイルに入れてる人、ほんとうに多い。
介護FCの加盟前チェックリストもあわせて確認してみてください。
介護フランチャイズで成功に近づける本部の選び方

5ブランドを経験してきた実感として、失敗しないためには「本部選び」が8割を占めると私は考えています。
介護FCの本部は、ざっくり分けると「集客支援が強い本部」と「教育・人材育成が強い本部」に分かれます。どちらが合うかは、あなたの経験値や既存リソースによって違ってきます。
経営経験が浅い人が選ぶべきは、SVサポートが手厚い本部です。SV(スーパーバイザー)が定期的に訪問してくれて、現場の数字を一緒に見てくれる体制があるかどうか。加盟前の説明会では「充実したサポート体制」と書いてあっても、実態はSVが10店舗以上を担当していて月1回の電話1本だった、なんてことが普通にあります。
確認方法はシンプルで、「SV1人当たりの担当店舗数は何店舗ですか?」と直接聞いてみてください。答えを濁すようなら、サポートへの自信がないと思っておいたほうがいいです。
集客の仕組みが本部主導かどうかも、ものすごく重要なポイントです。介護FCは、利用者を直接集めるだけでなく、ケアマネージャーとの関係構築が集客の柱になります。この営業活動を加盟店任せにしている本部と、本部が仕組みを提供してくれる本部では、まったく立ち上がりの速度が変わります。
あとは、財務的な安定性も見てください。FC本部自体が財務的に厳しい状況だと、サポートが薄くなったり、最悪の場合は本部が倒産して加盟店が路頭に迷うケースも出てきます。帝国データバンクや東京商工リサーチで、本部の企業情報を調べることができます。少し手間ですが、やっておくだけで安心感がぜんぜん違います。
「他社より加盟金が安い」「今なら特別条件で加盟できます」という言葉に釣られて急ぐのは、一番危険なパターンです。加盟を急かしてくるような本部は、むしろ疑ってかかるくらいでちょうどいい。
FC本部の選び方を詳しく解説した記事も読んでみてください。
まとめ:介護フランチャイズの失敗は「事前準備」で8割防げる
介護フランチャイズで失敗する人の多くは、「業界の需要」に目を向けすぎて、「自分のお店の収支」から目を背けています。需要があることと、儲かることは別の話。この認識を持てているだけで、加盟前の判断がぐっと変わります。
運転資金は最低でも6ヶ月分、できれば1年分を用意してから加盟を検討してください。契約書は専門家に見てもらう。既存加盟店オーナーに直接話を聞く。撤退事例を調べる。当たり前のことに聞こえるかもしれないけれど、これができていない人が、後悔するケースのほぼ全員です。
私自身、失敗から学んだことは「成功体験を過信しないこと」と「準備にかけるコストを惜しまないこと」の2つです。あなたにはどうか、私と同じ失敗をしてほしくない。焦らず、正しい情報をもとに判断してほしいと思っています。
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よくある質問
Q. 介護フランチャイズに加盟するのに必要な初期費用はどれくらいですか?
A. ブランドによって幅がありますが、一般的に加盟金・研修費・内装費・備品費・システム費などを合わせると500万〜1,500万円程度になることが多いです。ただし、この初期費用に加えて、黒字化するまでの運転資金(最低6ヶ月分)を別途用意しておかないと、開業後すぐに資金不足に陥るリスクがあります。初期費用だけを見て判断するのは危険です。
Q. 介護フランチャイズで失敗しやすい業種・サービス形態はありますか?
A. 訪問介護・デイサービス・介護タクシーなど業種ごとに特性が異なりますが、共通して「人材採用・定着が難しい」という問題があります。とくに訪問介護は人材依存度が高く、スタッフが辞めた瞬間にサービスが提供できなくなるリスクがある。私が見てきた失敗事例でも、「人が集まらなかった」「採用できても続かなかった」という理由が非常に多いです。
Q. 介護フランチャイズの加盟前に開示書類は必ずもらえますか?
A. はい、法律(中小小売商業振興法・フランチャイズ取引に関する独占禁止法のガイドライン)上、本部は加盟契約締結の前に法定開示書類を交付する義務があります。この書類には加盟店数・解約数・財務情報などが記載されています。受け取ったらかならず中身を確認してください。特に「解約・解除件数」と「加盟店数の推移」は必ず見てほしい項目です。
Q. 介護フランチャイズの撤退を決めたとき、違約金はどれくらいかかりますか?
A. 契約書の内容によって大きく異なりますが、契約期間中の中途解約では数十万〜数百万円の違約金が発生するケースがあります。私の経験では、撤退コストを甘く見ていたことが資金繰りをさらに悪化させる原因になりました。加盟前に「万が一撤退する場合のコスト」を必ず確認して、その金額も含めたシミュレーションをしておくといいでしょう。
Q. 介護フランチャイズ加盟時に使える補助金はありますか?
A. 地方自治体の創業補助金や、雇用関連の助成金(キャリアアップ助成金など)が使えるケースがあります。ただし補助金は申請タイミングや条件があるため、加盟前に商工会議所や中小企業診断士に相談して確認するのがベストです。本部が補助金情報を提供していない場合でも、自分で調べると使える制度が見つかることがある——開業コストを少しでも下げるためにも、ぜひ調べてみてください。

